FortiGate HA 2025年10月3日
HAのアップグレードモードとMVC
はじめに
- HAクラスタのアップグレードは「止めない」「影響を最小化する」ことが重要なテーマです。FortiOS 7.4.1以降では upgrade-mode が拡張され、4つの方式から選択可能になりました。さらに MVC(Multi-Version Cluster) によって、一時的に異バージョン共存が可能となっています。
アップグレードモード(upgrade-mode)の全体像
1) uninterruptible(デフォルト)
- 意味:セカンダリ → プライマリの順に段階的にアップグレード。
- 特徴:セッション維持を試み、ユーザ影響を最小化できる。
- 用途:同一トレイン内でのマイナーバージョンアップに最適。
- 補足:FortiOS 7.4.1以降のデフォルトモード。
config system ha
set upgrade-mode uninterruptible
end
2) simultaneous(同時)
- 意味:全HAメンバを同時にアップグレード。
- 特徴:停止時間は長いが手順は単純。
- 用途:計画停止を許容できる環境、シンプルな運用。
config system ha
set upgrade-mode simultaneous
end
3) local-only(7.4.1以降)
- 意味:CLIを実行したローカルノードのみをアップグレード。
- 役割:MVC運用へ移行するためのオプション。
- 用途:段階的なバージョン共存を許容し、切替や検証を安全に進める。
config system ha
set upgrade-mode local-only
end
4) secondary-only(7.4.1以降)
- 意味:セカンダリノードのみをアップグレード。
- 役割:local-only と同様に、MVC状態へ移行する前提となる。
- 用途:まずセカンダリを新バージョンにして検証し、問題なければプライマリを追随。
config system ha
set upgrade-mode secondary-only
end
バージョン差分
- 7.4.0以前:set uninterruptible-upgrade {enable|disable}
- 7.4.1以降:set upgrade-mode {uninterruptible|simultaneous|local-only|secondary-only}
MVC(Multi-Version Cluster)
概要
- 定義:HAクラスタ内で一時的に異なるFortiOSバージョンを共存させる仕組み。
- 狙い:異バージョン間でもHAクラスタを維持し、計画停止を最小化。
- 前提条件:FortiOS 7.4.1以降、local-only / secondary-only を利用。
代表的な運用フロー
- secondary-only でセカンダリを新バージョンへアップグレード
- 同期状態を確認 → 必要に応じてフェイルオーバーしてトラフィック検証
- 問題なければ残りのノードを local-only でアップグレード
- 全ノードが新バージョンで揃えばMVC解除、通常同期に戻る
注意点
- 異バージョン共存中は設定変更の同期が制限される。
- SD-WANやプロキシ機能など一部は互換性リスクがあるため、事前検証が必須。
- 必ず公式アップグレードパスに従うこと。
まとめ
- FortiOS 7.4.1以降は upgrade-mode によって4つの方式が選べる。
- uninterruptible がデフォルトであり、まずはこれを基本と考える。
- simultaneous は計画停止を前提としたシンプル運用向け。
- local-only / secondary-only は MVCによるメジャーバージョン跨ぎに活用可能。
- 運用要件とリスクを踏まえて適切なモードを選択することが重要。