FortiGate HA 2025年10月2日
HAにおけるOverrideの仕組みと運用の勘所
1. はじめに
- FortiGateをHA(High Availability)構成で運用する際、障害が発生するとセカンダリが自動的に昇格して業務継続を担います。
ここで問題になるのが「復旧した際に自動的に元のプライマリに戻すべきかどうか」です。 - これを制御するのが Override機能 です。本記事ではOverrideの仕組みと設定方法、運用時の注意点を解説します。
2. Overrideとは
- FortiGate HAの プライマリ選定基準 には以下があります。
- 稼働時間(Uptime)
- HA Priority
- モニターインターフェイス
- このうち Priority が高いノードを「復旧後も強制的にPrimaryに戻す」かどうかを決めるのがOverrideです。
- Override 無効(デフォルト・推奨)
現在動作中のプライマリを維持する。 - Override 有効
優先度(priority)が高いノードが復旧した場合、自動的にPrimaryに再昇格する。
- Override 無効(デフォルト・推奨)
3. 設定例
CLI
config system ha
set group-id 10
set group-name "HA-Group"
set mode a-p
set hbdev port1 100
set session-pickup enable
set priority 200
set override enable # Overrideを有効化
end
GUI
System > HA > Overrideを有効化 にチェックを入れる。
4. 動作シナリオ
(1) Override 無効(推奨)
- FGT1(priority=200)とFGT2(priority=100)でHA構成。
- FGT1ダウン → FGT2がPrimaryへ昇格。
- FGT1復旧 → FGT2がPrimaryを維持(不要な切替を防ぐ)。
(2) Override 有効
- 上記と同じ構成。
- FGT1復旧 → 自動的にFGT1がPrimaryへ再昇格。
- ポイント: Overrideを有効化すると、復旧時に再フェイルオーバーが発生し、セッション切断リスクが増す。
5. 運用の勘所
- 推奨はOverride無効
→ 安定性を重視し、不要な切替を防ぐ。 - Override有効が有効なケース
- 設計ポリシーとして「常に特定ノードをPrimaryにする」必要がある場合。
6.よくある誤解と注意点
- 「Overrideを有効にすると自動で元に戻るから便利」→実は危険
一見すると復旧時に元のプライマリへ自動的に戻れるので安心に思えますが、実際は再フェイルオーバーを伴うため、セッション切断や一時的なサービス影響を招きやすくなります。可用性を高めたい意図が逆に安定性を下げるケースが多いのです。 - Priorityが同じならOverrideを有効化しても効果なし
Overrideは「Priorityが異なるノード間」でのみ意味を持ちます。両ノードのPriorityが同じ場合は挙動に変化はなく、設定しても無意味です。 - 運用中にOverrideの有効/無効を把握していないと混乱する
トラブルシュートや監視時に「なぜ復旧後にプライマリが入れ替わったのか」が分からず、誤報や誤解につながることがあります。定期的に get system ha status を確認し、Overrideがどの状態で運用されているかを明確に把握しておくことが重要です。
7. まとめ
- Overrideは「復旧後に優先度の高いノードをPrimaryへ戻すかどうか」を決める機能。
- 実運用では disable(デフォルト)が推奨。
- 使う場合は切替リスクを理解し、設計上の理由があるときに限る。